この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
相談内容主人の不貞行為。相手方女性は知り合いのようだが,名前と住所と携帯電話の番号とメールアドレスしか分からない。離婚はしたくないが,主人には別居され,離婚の請求を受けているところ。不貞の事実は認めていないが,メールの内容は明らかに性行為を前提とした内容になっている。相手方女性に不貞の事実を認めさせ,損害賠償を請求したい。
解決への流れ
まず受任通知を送る前に弁護士会照会(弁護士会を通じて必要な調査を各機関に依頼する制度。必ず回答が得られる訳では無い)という制度を使って,相手方女性の素性を調査。具体的には,携帯電話の番号から登録している通信会社を割出し,その通信会社に対して当該携帯電話の登録情報を開示するように請求。会社名義での登録であること及び勤務先の社名が判明(社用携帯を用いて不貞を行っていた)したので,それを前提に交渉を開始。依頼者が相手方の給与を仮に差し押さえることも視野に入れていたため,それをリスクと考えたのか,分割ではあるが300万円の支払を承諾させることができた。
不貞行為に基づく損害賠償請求の事案ですが,勤務先も含む相手方の情報をきちんと事前に調査しておくことによって,裁判を使わず,こちらの希望額にかなり近い金額の支払を約束させた事案です。このように調査が直接奏功して解決する事件は決して多くないのですが,調査を行ったことにより,事前に有利(あるいは不利)な情報を入手できることは多く,少しでも早期かつ適正に事案を解決するのであれば,必須の作業と言えます。この過程を省略していきなり受任通知等を送付する弁護士もいますが,余程急ぐ必要がある場合を除いては,足元を見られるだけだと思います。