この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
Aさんは甲社との間で業務委託契約を締結して、甲社専属でマーケティング業務を行っていました。甲社の成長に伴って、甲社はマーケティング文門を拡張していきましたが、甲社のマーケティング部門は実質的にAさんが取り仕切っていました。甲社が成長していくと、甲社社長とAさんとの間で方針の相違が目立つようになり、Aさんは甲社との契約を解消して、独立することとしました。しかし、甲社との間の業務委託契約には、守秘義務の定めがあったため、開業後に問題が生じないか不安になって相談に来ました。
解決への流れ
守秘義務の条項を確認してみると公知の事項については守秘義務を負わないことが明確に記載されていますAさんから事情を聴取していると、Aさんが行っているマーケティング方法は、甲社のオリジナルなものではなく、一般的に行われているものでした。そのため、Aさんが独立しても、業務委託契約上の守秘義務に反するものではないことがはっきりしました。
公知の事項であれば守秘義務の対象外とされていることが多くあります。ただ、公知の事項といえるか、実際に行為をした時点で公知の事項であったのか紛争となる可能性は残ってしまいます。そのため、今回のケースではAさんにインターネット上で類似のマーケティング手法が紹介されていることを画像データとして保管しておくこともアドバイスしました。インターネット上の情報は、情報が更新される場合もあるので、実際に紛争になった時点では、有用な情報が消えてしまっている場合もあるため、注意が必要です。独立にあたって守秘義務と併せて注意をする必要があるのが競業避止義務です。Aさんの場合には、競業避止義務について業務委託契約に記載はされていませんでした。そのため、原則として競業避止義務が問題となることはありません。ただ、業務委託契約の内容によっては競業避止義務が定められれていますし、その範囲もその定めが有効であるかも場合によってきますから注意が必要です。