この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
10年以上勤めている会社から退職を求められました。きっかけは、私が職場の同僚と仲が悪くなり、その同僚が上司に私の悪口をいろいろ伝えたことがきっかけのようです。うわさが広がり、職場でも孤立しがちな状況になってしまいました。ある日、上司から「あなたとは一緒に仕事ができないという人が多数いる。退職願を書いてくれないか。」と言われました。私も反論して、「私の言い分も聞いてください。」と言ったのですが、「もう十分聞きました。それでは解雇します。」と言われてしまいました。
解決への流れ
弁護士に依頼したところ、内容証明郵便で解雇の撤回を求めてくれました。会社が応じなかったため、労働審判の申立てを行ってもらいました。1月ほどのちに期日が入り、弁護士さんと一緒に裁判所に行きました。職場内での人間関係のもつれについて聞かれたので、私の口から裁判官に事情を伝えることができました。弁護士さんも併せて解雇が違法である旨述べてくれました。裁判所から和解の提案を受けて、会社側が一定額の金銭を支払うこととなり、私も会社都合での退職に応じることとしました。弁護士さんから退職金もきちんと払うよう会社に申し入れてもらい、退職金も支払われました。
解雇にはいくつかのパターンがあります。業務命令違反や法律違反、ミスなどを理由とする懲戒解雇、会社の人件費削減のために行う整理解雇、その他能力不足や病気などを理由とする普通解雇などがあります。今回のケースは分類としては普通解雇にあたるでしょう。人間関係を理由とする解雇が認められた裁判例もありますが、客観的なデータにもとづく判断ではないので、他の事案と比較すると解雇は認められにくい印象です。将来にわたって改善の見込みがなく(将来予測の原則)、解雇以外の手段をやりつくし最早解雇以外の手段が存在しない(最終手段性の原則)といった事情がない限り、解雇は難しいでしょう。採用する手続ですが、あくまで復職を求めるのであれば、裁判手続を採用するべきでしょう。復職後のことを考えると、労働組合の協力も並行して求めるべきかもしれません。他方で、職場に愛想が尽きたので復職の意欲は高くない、金銭解決で構わないということであれば、労働審判を採用すべきでしょう。