この事例の依頼主
女性
相談前の状況
Aさん(女性)オレオレ詐欺の受け子(現金を受け取る役目)として現行犯逮捕となる。Aさんは当時交際(以降B)していた男性から詳しい内容を伝えられないまま仕事を紹介してもらい、オレオレ詐欺に関与することなどとは思いもせず、今回の事件に至った。Aさんの仕事の内容は、当日まで具体的な内容は明かされず、携帯電話にかかってくる指示通りに行動すればよいというものでありました。犯行当日Bから渡された携帯電話に別の人物から指示があり、指定した場所へ偽名を名乗り荷物を受け取るというものであり、荷物を受け取る直前に荷物が現金であることを知らされました。Aさんは途中から、「もしかして、なにかまずいことをしているのではないか」等と思ってはいましたが、Bから任された仕事であり、途中で仕事を放棄することで、Bに迷惑がかかる、見放されたくないという思いから、電話の指示のまま最後まで行動しました。
解決への流れ
弁護活動としては、逮捕後、Aさんには接見禁止(弁護士以外の面会、手紙のやりとりが出来なくなる)という措置がとられていた為、逮捕後3か目に接見禁止の一部解除(両親にかぎり面会等の許可)を裁判所に求めました。しかし、裁判所はこの請求を認めませんでした。Aさんは20日間留置施設に勾留され、起訴となりました。起訴翌日に裁判所へAさんの保釈を求めました。裁判所へは、Aさんが、犯行自体を認めていること、初犯であり他の犯行への関与が無いこと、Bとの接触を今後一切とらないこと、家族の受け入れ体制が整っていること等を疎明し、保釈が認められました。裁判では、Aさんが、犯した罪は認めながらも、確定的に詐欺と認識して行動した訳ではないこと等を主張し、執行猶予判決となりました。
一般的に振り込め詐欺は組織犯罪なので、共犯者が多数いることが想定され、共犯者への連絡手段を遮断するために、逮捕された場合、接見禁止となる場合が大半です。関与の度合いなどの状況によっては、弁護士が接見禁止一部解除の申入れを裁判所に行うことで、家族のみ面会や手紙のやりとりが可能となりますが、今回のケースはそれが叶いませんでした。保釈も厳しい状況でしたが、家族の監督受け入れ態勢が整っていたことや、Aさんの体調面で裁判所に考慮してもらえた事情などもあり、保釈が認容されました。