この事例の依頼主
60代 女性
相談前の状況
数年前に夫が亡くなり,夫名義の自宅に私と長男夫婦とで一緒に住んでいたのですが,私と長男夫婦との折り合いが悪くなって,今では私は二女の家に身を寄せています。私も高齢で老人ホームへの入所なども検討しなければならないのですが,夫名義の自宅を売却する以外にそのようなお金を捻出することもできません。どのように対応したらよいのでしょうか。
解決への流れ
弁護士に依頼し,夫名義の自宅を売却するために遺産分割調停を申し立てました。紆余曲折あったものの,遺産分割調停では夫名義の自宅の土地建物を任意売却して相続人間で分配することで話がまとまり,売却により私は概ね相続分どおりのお金を取得することができました。
本件のように遺産分割の対象となるみるべき財産が不動産しかない場合や,遺産全体の中で不動産の価値が占める割合が高いような場合には,遺産分割などの相続紛争を解決するために不動産の任意売却に踏み切る必要が生じます。遺産分割により相続人の1人がその不動産を取得する形をとることができればその1人が売却すればよいので手続が簡単になりますが,そのような合意に達しなくとも相続人全員が売却することに合意すれば任意売却が可能です。なお,遺産分割調停などで不動産を任意売却することについてどうしても合意に達することができない場合には,手元に残る金額は減少してしまうことになってしまうことが多いものの,競売手続を経て金員を取得することが可能です。